大聖女ひた隠す3巻ネタバレ感想|クェンティンと黒竜探索を考察

『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』第3巻の考察画像。木漏れ日が差し込む幻想的な森を背景に、花冠と青い羽根を描き、強者が怯える笑いと秘密を誓う温かさ、黒竜が立ちはだかる衝撃の結末を紹介している。 漫画
笑いの裏に秘密がある。強い者だって、怖いものはあるんだな。

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【ネタバレあり】『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』3巻のみどころは、クェンティン団長の登場、黒竜を探す森の大騒ぎ、そして最後のページの引きの強さだ。この記事では、3巻のあらすじ、感想、考察を、俺の目線でまとめる。

表紙や巻末のあとがき漫画まで、紙の本で手に取ってたしかめたい人は、Amazonの商品ページで巻の情報が見られる。転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す A Tale of The Great Saint 3(Amazon)

大聖女ひた隠す3巻の基本情報とみどころ

まず書誌を表にまとめる。奥付で確かめた情報だ。

作品名転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す A Tale of The Great Saint 3
原作・原作イラスト十夜・chibi
漫画青辺マヒト
発行アース・スター エンターテイメント(EARTH STAR COMICS)
初出コミック アース・スター 2020年8月〜12月掲載
初版発行2021年2月12日(手もとの奥付は2026年2月6日の第5刷)
ISBN978-4-8030-1488-4
収録話第9話〜第13話

この巻のみどころは三つにしぼれる。ひとつ目は、強い人ほどフィーアたちの力を正しく恐れる、おかしみのある場面だ。ふたつ目は、シャーロットとの約束。みっつ目は、ザビリアが明かす過去と、最後の一枚の絵である。

この記事で分かる3巻のポイント

  • 3巻(第9話〜第13話)のあらすじとネタバレ
  • クェンティンがフィーアに敬語を使う理由
  • 夢見鳥との戦いで、フィーアが何をしたのか
  • ザビリアの「昔は青竜だった」という告白の意味
  • 巻末のあとがき漫画と、描き下ろしの楽しみ

大聖女ひた隠す3巻のあらすじ(ネタバレあり)

『大聖女ひた隠す』第3巻の第9話から第13話までのあらすじを、青い小鳥クェンティン、夢見鳥、森の探索、双子の青竜、黒竜ザビリアの覚醒とともに紹介するファンタジー風インフォグラフィック。
小さな青い鳥の秘密が、黒竜の運命まで動かすとはな。

第9話。

朝、フィーアは小鳥の姿のザビリアのために、パペットにもなる手作りの防寒着を披露する。ザビリアは遠慮しようとするが、断れる空気ではなかった。そのあと第四魔物騎士団の副団長ギディオンに、従魔へ回復薬を与えられたと報告する。

ギディオンは第一騎士団を嫌い、フィーアには雑用しか与えていなかった。そこへ第一騎士団長シリルが進み具合を確かめに現れ、本来の仕事である魔物の生命力の数値化が手つかずだと知る。

シリルは足を軽く振りおろしてローテーブルをくだき、送り出した騎士を軽んじるなら懲罰を受けるか、とギディオンに迫る。ギディオンは涙目になり、フィーアは生き物の種類が違うほどの差を感じて震える。

そこへ第四魔物騎士団長クェンティンが帰還する。彼は相手のエネルギーがぼんやり見える目をもつ。半年も大陸中をさがした黒竜が、青い鳥の姿で自分の部屋にいると気づき、血の気が引く。

フィーアは「魔物のうち1体は私が作ったパペット」とごまかすが、クェンティンはなぜか敬語になり、シリルやギディオンを戸惑わせる。やがてフィーアはシャーロットとの約束を理由に退室し、ザビリアの名前を呼べて嬉しいと聞かされる。

第10話。

フィーアは約束どおりシャーロットと従魔舎へ向かう。パペットで愛らしく挨拶してみせるが、反応はいまひとつだった。シャーロットは魔物の傷が驚くほど早く治っていることに気づき、泉の緑の回復薬を口にして涙をこぼす。

苦しまずに傷が治る薬が、ずっと欲しかったのだという。フィーアは、自分が第一騎士団へ戻ったあとも、シャーロットから皆に回復薬のことを伝えてほしいと頼む。

さらに泉の薬が薄まらないよう、回復魔法を流す練習もお願いする。シャーロットは、教会に飾られた大聖女の肖像画とフィーアの髪と瞳の色が同じだと指摘し、聖女なのかと問う。

そのうえで、誰にも言わず望まないことはしないと約束し、聖女にしてくれた礼を伝える。ザビリアはその賢明さを認める。廊下でクェンティンと出会ったフィーアは、昼食を共にしようと誘い、断れない彼を食堂へ連れていく。

クェンティンは完全な従魔契約の証を見て感服し、同調の具合を質問ぜめにする。ザビリアは主との結びつきの深さを率直に語り、騎士団長会議の場へ向かう流れになる。

クェンティンは緊張のあまり食事ものどを通らず、フィーアは遠征帰りで疲れているのだと受け取る。フィーアは、ザビリアを従魔にできたのは偶然で、死にかけていたところを回復薬で救ったのがきっかけだと説明した。

第11話。

御前会議の広間で、総長サヴィスがフィーアを見て、騒がしいところに必ずお前がいると淡々と言う。シリルとザカリー、クェンティンの団長たちは、フィーアを自分の隊に入れたがり火花を散らす。

フィーアは帰りたいと願うばかりで、第五騎士団長クラリッサのそばに控えて会議に臨む。議題は、黒き王と呼ばれる黒竜の捕獲だった。黒竜はすでに成長して捕まえられないため、クェンティンが持ち帰ったねぐらの洞窟の石を見せ、山へ帰ってもらう方針に決まる。

翌朝、フィーアは小鳥姿のザビリアを連れ、ザカリー率いる第六騎士団と第四魔物騎士団の面々とともに森へ出発する。集合場所で傷ついたグリフォンをこっそり回復すると、従魔たちが次々になつき、クェンティンは契約主以外に従魔がなつくことに衝撃を受ける。

ギディオンも深く頭を下げ、これまでの扱いを悔やんで副団長の職を返上すると言いだし、フィーアはあわてて止める。ザカリーが間に入り、フィーアを自分の隊に迎えて出発の号令をかける。

探索は三つの隊に分かれ、笛で互いの位置を知らせ合いながら進む。出発後まもなく夢見鳥が現れ、幻覚で団員を惑わし、緑の鱗をもつ夢緑へ姿を変える。

第12話。

場面は王城に移り、シリルが窓から外を見つめている。第二騎士団長デズモンドが声をかけ、フィーアに関わった団長たちは皆おかしくなると笑い合う。シリルは、聖女を最上位に置いたのは王族だと語り、デズモンドも、フィーアには驚かされっぱなしだと苦笑する。

森では、夢緑の幻覚のせいで罠も敵の位置も見誤り、団員が吹き飛ばされていた。フィーアは大人しくしているよう言われていたが、見かねて動く。周囲に集まったクェンティンの従魔の鳥たちに、夢緑の真上へ飛ぶよう頼み、幻覚の範囲の外から正しい位置を示させる。

さらに見えない檻で従魔たちを守り、幻覚を破る糸口をつくる。団員たちは位置を取り戻して体勢を立てなおし、魔道士や弓矢の隊が夢見鳥の動きを読んで攻めはじめる。

フィーアはザカリーたちに、幻覚の範囲から出れば元に戻ると叫び、皆が離脱すると、夢緑は夢見鳥の姿に戻った。戦いは立てなおされるが、新たな魔物が3体現れる。

同時に東西の隊から救助の笛が鳴り、ザビリアが、西側に竜が二頭現れたとフィーアに告げる。フィーアは東のギディオン隊は自力で対処できると見て、竜が出た西のクェンティン隊を優先すると決める。

第13話。

フィーアはザカリーに、残る魔物は部下に任せ、竜が出た西のクェンティン隊へ急ぐよう進言する。ザカリーは文句を言いながらも突進し、フィーアが身体強化の補助を加えて夢見鳥を倒す。

フィーアは部下たちを励まして救援に向かい、魔物騎士団から従魔も借りる。現場では、クェンティンとザカリーが、傷ついたグリフォンを守りながら青竜2頭と戦っていた。ザビリアは、この2頭は番ではないかと分析し、自分が昔は青竜だったと打ち明ける。

千年生きた竜は黒竜に生まれ変わるのだという。できれば青竜とは戦いたくないと本音をこぼし、フィーアは任せてと笑う。ザカリーとクェンティンは息を合わせ、青竜の速い動きにも一歩も引かない。

団員たちは弓や魔法で援護しつつ、青竜に注意して後退する。団長2人の連係で戦いは優勢に見えたが、やがて青竜がフィーアに襲いかかる。羽根と花冠の花びらが宙に舞い、肩にいた小鳥の姿が消える。

最後のページ、黒竜の本来の姿に戻ったザビリアが、青竜の前に立ちはだかる。3巻はここで幕を閉じ、続きは次の巻へ持ち越される。

登場人物の早見表とつまずきやすい用語

3巻で動きの大きい人物を、役割ごとに整理した。

人物立場3巻でしたこと
フィーア・ルード第一騎士団所属。前世は大聖女力を隠しつつ、従魔と仲間を救う
ザビリアフィーアの従魔の黒竜過去を明かし、最後に黒竜の姿で立つ
クェンティン・アガター第四魔物騎士団長黒竜の捕獲に動き、フィーアにひれ伏す
シリル・サザランド第一騎士団長ローテーブルをくだき、ギディオンを締める
ギディオン・オーク第四魔物騎士団の副団長フィーアに雑用を押しつけ、のちに謝る
シャーロット聖女のひとりフィーアの正体に気づき、秘密を守ると誓う
ザカリー第六騎士団の団長夢見鳥と戦い、フィーアを自分の隊に入れる

名前がまぎらわしい用語は、次の三つを覚えておくと読みやすい。

  • 黒き王:黒竜の呼び名。千年に一度生まれ変わるとされる
  • 夢見鳥:幻覚をつくる魔物。育つと夢緑に変わる
  • ブルーダブ:「幸せの青い鳥」の姿。ザビリアが小鳥に化けるときの形

巻末の書きおろし・あとがきについて

3巻の巻末は、買った人だけが読める得な部分だ。まず、作者の青辺マヒトによるあとがき漫画。3巻でクェンティンが登場し、フィーアを取りまく人たちの掛け合いがいっそう楽しくなったと語り、好きなキャラクターだから描いていて楽しいとも書いている。

担当さんの交代やアシスタントさんの卒業など、制作の裏側にも触れていた。

もうひとつは、緑色の描き下ろしだ。フィーアが「お嬢様」、クェンティンが「執事」になる設定で、森で拾った小鳥をかくまうお嬢様と、獣のにおいを嗅ぎつける執事のやりとりが描かれる。

窓の外にフィーアをしたう動物たちが集まる絵が、本編のなつかれ体質そのままで笑える。あとがきのあとには、電子版を買ってくれた人へのお礼イラストもついていた。

  • 作者のあとがき漫画で、クェンティン登場への思いが読める
  • 「お嬢様であることをひた隠す」の描き下ろしは、本編のパロディとして読める
  • 電子版にはお礼のイラストがつく

本編を読み終えたあとに、緊張をほぐす締めがあるのはありがたい。続きが気になる最後のページのあとで、笑える口直しが待っているからだ。紙の本でじっくり見たい人は、この巻をAmazonでたしかめてほしい。3巻のAmazon商品ページ

考察|名前を呼ぶことが、力の差を越えてつながる

黒竜が支配する暗い廃墟と、青い小鳥が飛ぶ明るい城を対比させたインフォグラフィック。中央の天秤には「力」と「名前」が置かれ、名前を呼ぶことで恐れや孤独が信頼とつながりに変わる様子を表現している。
どれほど強くても、名前を呼んでもらえる温かさにはかなわないんだな。

3巻の核心は、「強さ」より「名前」にあると俺は断言する。強い者ほど相手の力を正しく恐れるのに、フィーアだけが相手を名前で呼び、怖がらせないよう振る舞う。そこに3巻の笑いと温かさが同居している。

クェンティンが恐れ、フィーアが呼ぶ

クェンティンは、相手の力が見える目をもっている。そのせいで、小鳥の姿のザビリアを前にしても、見えてしまう力の大きさで身動きが取れなくなる。

彼がザビリアの名前を口にしようとして、頭文字で呼ぶことを提案する場面は象徴的だ。名前を呼べば相手に届いてしまうと知っているから、呼べないのだ。

いっぽうフィーアは、帰り道で「頭文字で呼ばれるのをどう思う?」とザビリアに聞く。ザビリアは「長い間誰も僕の名前を呼ばなかったから、呼んでくれると嬉しい」と答える。力が強すぎる存在は、まわりに恐れられるあまり、名前を呼ばれない。フィーアは、それを自然にひっくり返してしまう。

この構図は、運動会の足の速い子に似ている。みんなが「あいつは別格だ」と遠巻きにするなか、ひとりだけが普通に名前を呼んで誘う。その一声で、別格の子はやっと輪に入れる。3巻のザビリアも、そういう「普通に呼んでくれる人」を千年かけて待っていたのだと読める。

もうひとつの根拠は、ザビリアの告白だ。千年生きた竜は黒竜に生まれ変わる。彼が「昔は青竜だった」と打ち明けたのは、青竜の番を前にした場面だった。

同じ竜の仲間を傷つけたくないという本音を、彼は主にだけ見せる。信頼しているから、弱音を吐ける。名前を呼んでくれる相手にだけ、人は本音を預ける。

シャーロットの場面も同じ線の上にある。彼女は「フィーアは聖女様なの?」と気づきながら、「誰にも何も言わない」と決める。

フィーアを聖女様として崇めずに、望まないことはしないと誓う。これも、力ではなく人として接する選択だ。名前を呼ぶことと、秘密を守ることは、根っこでつながっている。

結論はこうなる。この巻は、強者がおびえる喜劇の形をとりながら、力をもつ者が孤独から出ていく物語だ。最後のページで、黒竜の姿に戻ったザビリアが前に立つ。力を見せる決意は、名前を呼ばれた者だけができる行動だと、俺は読んだ。

この巻では語られきらなかった謎

ひとつは、ザビリアが青竜から黒竜に生まれ変わった経緯だ。千年のあいだに何があったのか、3巻では「昔は青竜だった」と本人が述べるにとどまる。もうひとつは、2頭の青竜が森に現れた理由である。ザビリアは番だと見ていたが、なぜ今、王城近くなのかは語られない。

公的な裏づけは見つからないので、ここから先は俺の見立てだ。ザビリアが元青竜なら、あの2頭との関係は偶然ではない、と俺は見ている。次の巻で明かされるかは、公式の発表がまだ無いので分からない。

読んだ感想|笑って読んでいたのに、最後の1ページで息を止めた

3巻は、読んでいて頬がゆるむ巻だった。クェンティンの敬語が、とにかくおかしい。強いはずの団長が、小さな少女とパペットに怯えて土下座の勢いで頭を下げる。

ギディオンの変わりようも見ものだ。雑用を押しつけていた相手に、あとで謝って副団長を辞めると言いだす。人は見えるものが変わると、これほど手のひらを返すのかと笑った。

いちばん胸に残ったのは、シャーロットの「私を聖女にしてくれてありがとう」だった。力の弱かった子が、手を握って教えてもらっただけで大きく変わる。

人を変えるのは、才能よりも、いっしょに練習してくれる誰かだ。俺はこの場面で、フィーアの強さより、やさしさのほうを信じたくなった。

そして最後のページ。笑いの連続から、一気に空気が変わる。羽根と花冠が舞う絵を見たとき、息が止まった。ザビリアが主を守るために姿を変える。

3巻はここで終わるので、4巻をすぐに読みたくなる。読み終えて思ったのは、強さを隠すお話は、ほんとうは「だれに見せるか」を選ぶお話だということだ。

この記事は、櫻田泰憲が3巻を読んで書き留めた感想をもとに、AIアシスタントの支援で文章化し、本人が内容を確認・加筆して公開している。書誌とアニメの情報は、公式のページで裏づけた。

3巻が気に入ったら、続きの巻もあわせてそろえておくと、物語の流れが切れずに読める。3巻をAmazonで見る

参考にした公式ページと筆者

アニメ化の情報を、公式サイトでたしかめられる。放送の時期やスタッフ、キャストが一覧になっているので、原作と見比べたい人に向いている。TVアニメ『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』公式サイト

アニメ化発表やキャスト、放送開始の知らせは、電撃オンラインでも読める。公式サイトのリンクがここから確認できる。電撃オンラインの記事

筆者:櫻田泰憲(札幌在住)

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