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ホタルの嫁入り2巻は、紗都子が「島を出るまで」と線を引き、進平がその線を笑って踏み越えてくる巻だ。ネタバレありで、あらすじ・感想・考察・みどころをまとめた。蛍の夜と物置の一夜、この2場面だけでも読む価値がある。
2巻は第六話から第十二話までを収めている。遊女島で身請けの話が持ち上がり、命がけの騒ぎを経て、ふたりの関係が「契約」から「約束」へ変わっていく。
2巻の中身をさきに確かめたい人は、書誌が確認できるこちらから手に取れる。
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ホタルの嫁入り2巻の基本情報と収録話
| 書名 | ホタルの嫁入り(2) |
|---|---|
| 作者 | 橘オレコ |
| 出版社 | 小学館 |
| 発売日 | 2023年9月12日(書誌サイトの表記)。奥付の初版第1刷発行日は2023年9月17日 |
| ISBN | 978-4-09-852825-7 |
| 収録話 | 第六話から第十二話までの7話 |
| 初出 | 「裏サンデー」2023年3月20日配信分から6月12日配信分 |
この作品は、2026年10月からテレビアニメが放送されている。放送局や配信先の最新情報は、公式サイトで確かめるのがいちばん早い。TVアニメ『ホタルの嫁入り』公式サイト
ホタルの嫁入り2巻でわかること3点
- 2巻の7話を、話ごとの流れでつかめる(ネタバレあり)
- 登場人物の関係と、巻末のあとがき・おまけの中身
- 島を出る約束がなぜ「契約」で終わらないのか、俺の考察
ホタルの嫁入り2巻のあらすじ(ネタバレあり)

第六話「見守るネズミ」
初めての客を迎えた紗都子の座敷に現れたのは、丸眼鏡の新渡戸だった。ふたりとも緊張でことばが続かない。新渡戸は、窮屈な仕事のなかで唯一の息抜きがこの場だと語り、女性とのつきあいがなく接し方がわからないと打ち明ける。誠実な人柄に、紗都子はすこしだけ肩の力を抜く。
紗都子は、島から出る方法を新渡戸に尋ねる。島の中のことには警察も手を出せず、店に身請けされる以外に女性が出る道はない、と彼は認める。すると新渡戸は、自分が身請けすると言い出し、一目惚れだから正式な妻になってほしいと求婚する。
紗都子は体が弱く、先が長くないと自分で語る。新渡戸は国じゅうの医者に診せると約束するが、紗都子の胸には島を出るために手を組んだ青年のことがよぎる。そのとき、梁の上から黒髪の青年が笑顔で手を振る。紗都子は新渡戸の目を手でふさぎ、「ネズミです」とごまかす。
青年は刀まで抜こうとして、紗都子に小声でたしなめられる。去りぎわに「紗都子を守る役は新渡戸じゃない、俺だから」と言い残す。直後、新渡戸が茶を飲んで倒れ込む。茶碗の中身は、いつの間にか酒にすり替えられていた。
第七話「正義の味方」
目を覚ました新渡戸は、眼鏡を外すと別人のような顔つきになる。着流しの青年は「酒癖が悪いだけ」と言うが、その中身は酒癖で片づく話ではなかった。眼鏡を外した新渡戸は、厳しい親に育てられた本来の人格・栄進が、欲望を発散できずに「二人目の自分」を作ったのだと語る。
この人格は、警視総監の息子という肩書きと、桐ヶ谷伯爵の娘婿という立場を使って、島の決まりを緩めたいと言い放つ。遊女たちを見下し、身請けをちらつかせて従わせてきたことも隠さない。紗都子には「脱げ」と迫り、胸の傷を見つけて侮辱のことばを浴びせる。
紗都子は怒りを飲み込む。心の中にあったのは、父を安心させられる肩書きの相手なら、どんな男とでも結婚するという覚悟だった。それでも身請けの話は断ると、はっきり告げる。男は逆上して土下座を迫る。
そこへ刀を持った青年が「助けに来たよ」と現れ、男の喉元に刃を当てる。紗都子は「殺さないで」とひっしにとめる。青年は、ほんとうはこの客を島を出る足がかりにするつもりだったと残念がる。その直後、男の撃った銃弾が青年の肩を貫く。
第八話「自慢の勲章」
撃たれた青年は、痛みをこらえながら笑う。穴だらけにされてもかならず助ける、俺は夫だからね、という調子だ。助けに入るのを紗都子の覚悟が決まるまで待ったこと、妻を傷つける者は消したいが、紗都子が殺すなと言えば従うことも、彼のモノローグで語られる。
紗都子は隙を見て男の銃を奪い、青年が男を殴り倒す。だが青年はなおも追い込もうとする。意識のない相手をとめるため、紗都子は思わず行灯をぶつけてしまい、自分の行いも暴力だと気づいて慌てて謝る。暴力は自分を守るときだけにして、と青年に言い聞かせる。
青年は「好きになってくれた?」と聞き、「なっていません」と即答される。目を覚ました新渡戸は酒を飲んだ非を深く詫び、償いに紗都子の伝言を桐ヶ谷家に届けると約束する。青年は「次は殺すからまた来てね」と凄み、男は逃げていく。
ふたりは傷跡を見せ合う。紗都子は子どものころから隠してきた胸の傷を「勲章」と呼ぶ。島を出る方法を話すうちに、紗都子は咳き込んで血を吐き、倒れてしまう。
第九話「自由にしてあげる」
幼い紗都子は、義母に外へ出ることを許されなかった。お前は桐ヶ谷家の財産で道具だと言い聞かされる。そんな夢から覚めると、遊女屋の一室で三日が過ぎていた。青年が付き添っていた。
夜、青年は川辺で捕まえた蛍を部屋に放し、灯りを消す。中も外も一緒だ、どこにいても自由にしてあげる、と彼は言う。紗都子は弱った蛍を外へ逃がしたいと頼む。青年はここを出たら蛍の来る土地に家を建て、大きな窓をつけようと語る。
紗都子は、殺し屋を一生続けるのかと問う。青年は金のためと答えつつ、生い立ちを明かす。父は知らず、遊女だった母は幼いころに客に殺され、その男が初めて斬った相手だった。
紗都子は、島から逃げたいのは彼自身ではないかと指摘し、「いっしょにここを出て自由になりましょう」と宣言する。ただし期限は島を出るまでだ。
夜がふけると、青年は「好きだ、結婚する」と言い出す。紗都子は、受け入れてくれるなら誰でもよかったのではと見抜き、口論になる。青年は豹変して凄んで部屋を出ていき、紗都子は自分の苛立ちの理由がわからないまま布団にもぐる。
第十話「愛する人の腕の中」
翌朝、紗都子は回復していた。進平は船頭を買収し、十日後に船で島を出られると報告する。それまでは追っ手を避けて遊女屋にとどまるしかない。紗都子はただで泊まるのを嫌がり、下働きとして働くと申し出る。指南役として面倒を見てくれると名乗り出たのが、少女の葵だった。
葵によれば、進平は島の遊女屋すべての用心棒で、権力者にも一目置かれている。誰にでも優しいが怖いうわさもある。特定の遊女と親しくしたことはないのに、紗都子の看病では眠らなかった。紗都子は、それをとくべつ扱いと受け取らず、誰にでも勘違いさせる人だと自分に言い聞かせる。
やがて遊女の紫たちが現れ、「進平様に近づくな」と凄む。葵は三人の名を教え、紫は店で二番目の売れっ子だと説明する。そのうえで、年季が明けたらいっしょになりたい人がいる、好いた男の腕の中なら死んでもいい、と葵は語る。紗都子は人を好きになったことがないと打ち明け、葵の夢を応援すると約束する。
それからの日々は嫌がらせの連続だった。食事、障子の落書き、破られた着物。そして五日目、進平の傷の手当ての場に、遊女が寄り添う姿を、桶を抱えた紗都子が見つける。
第十一話「絶対に許されないこと」
進平の部屋で、紫が「直に触れて確かめて」と身を寄せる。そこへ来合わせた紗都子は「失礼いたしました」と静かに去る。残された進平は、新渡戸の茶を酒にすり替えた犯人を紫に尋ねる。紫が知っているのはうわさだけだった。進平が結婚する予定の子がいると話すと、紫は絶句する。
紫は、新渡戸になんども無理やり求められて怖かったこと、早く助けを求めていれば紗都子が傷つかずに済んだはずだ、と悔やむ。部屋を出た紫の表情は険しい。
湯屋を掃除する紗都子は「無になる」と念じるが、葵に顔の怖さを指摘される。ふたりが抱き合っていたと明かすと、葵は恋ではと言う。紗都子は否定し、会ったことのない結婚相手が決まっており、自分の時間も権利もその人のために使い切ると決めたと語る。
そこへ進平が現れ、薪の取り出しに同行させる。道中、紗都子は「ふたりでいることは絶対に許されない」と自分を戒める。ところが薪を取りに入った物置は、外から鍵をかけられていた。
第十二話「痛み」
閉じ込められた物置で、進平は寝転がってのんきにしている。そして紗都子に、ここ数日ずっと機嫌が悪かった理由を尋ねる。謝ってほしいのではなく、知りたいのだと言う。自分が殺しを明かすと、これまでの相手は逃げようとした、とも打ち明ける。
彼は、相手の気持ちも自分の気持ちも読むのが苦手だと認めたうえで、紗都子が悲しむことはぜったいにしたくないと語る。紗都子の瞳が好きだ、ずっと見ていたい、と告白もする。
紗都子は謝り、島に来てからずっと嘘をついていたこと、助かるために彼の力が必要だったこと、家に帰れば父の認める相手と結婚する将来が決まっていることを明かす。
進平は刀に手をかけ、仕事を知られたからには生かしておけないと脅す。紗都子は泣き崩れる。立ち去ろうとした彼は、外で足を止めて戻り、なぜ泣くのかと問う。結婚を条件に島から出すと迫られても、紗都子は桐ヶ谷家の長女としての務めを理由に断る。
すると進平は、助けるが結婚もすると宣言する。結婚相手が現れるたびに殺し、自分だけになれば結婚するしかない、というのだ。さいごは「嫌なら死ぬ気で逃げてね」と言い、島を出たらすぐ捕まえると笑う。
同じころ、葵は紫に「物置にふたりでいる」と教える。激昂する紫の横で、葵は「痛い目を見ないとわからないようだね」と笑みを浮かべる。2巻はここで終わる。
ホタルの嫁入り2巻の登場人物の早見表
| 人物 | 立場 | 2巻でしたこと |
|---|---|---|
| 桐ヶ谷紗都子 | 伯爵家の令嬢。体が弱い | 遊女として島に囚われつつ、島を出るために進平と手を組む |
| 後藤進平 | 黒髪の殺し屋 | 紗都子を「妻」と呼んで守り、告白と脅しと約束をいちどに突きつける |
| 新渡戸 | 警視総監の息子を名乗る客 | 身請けを申し出るが、酒で別人格が現れて暴走する |
| 葵 | 遊女屋の指南役の少女 | 紗都子に仕事を教え、さいごに紫へ居場所を告げる |
| 紫 | 店で二番目の売れっ子の遊女 | 進平に近づく紗都子を牽制し、物置の件で激昂する |
巻末の書きおろし・あとがきについて
2巻の巻末には、本編のあとにも拾える楽しみが詰まっている。巻を買った人だけが読める得な部分だ。
- 次巻予告:3巻は2023年12月ごろ発売予定と告げられ、葵の笑みの理由と、紗都子に迫る無数の手が煽りとして置かれている
- 目次と取材協力:麻吉旅館、木曽路奈良井宿の御宿伊勢屋、博物館明治村の名が並び、明治の空気づくりの裏側が見える
- あとがき・おまけ:作者の近況のひとことと、日付入りの手書き添え書き付きのイラストが2点ある
- カバー裏:作品の紹介文が載っている
書きおろし短編は、この巻にはない。そのぶん、あとがきとおまけ絵で、重い本編の息つぎをさせてくれる。3巻へ進む前に、巻末の予告ページまで目を通してほしい。
次巻予告で進平が語る舟の場面は、2巻の物置の約束がどう動くかをさきに教えてくれる。ネタバレを避けたい人は、予告ページだけ後回しにするのがいい。
買う前に中身を見比べたい人には、紙でも電子でも探せる。ホタルの嫁入り(2)の商品ページで、巻末の目次まで確認してほしい。
考察|進平の「結婚もする」は愛なのか、約束なのか

結論から言う。2巻の進平は愛を語っているが、本人が欲しいのは愛というより、紗都子が「そばにいる理由」だ。2巻のさいごに出てくる「結婚するしかない状態にする」という理屈が、それを裏づけている。
根拠は2つある。ひとつは、第九話の蛍の場面だ。進平は、どこにいても自由にしてあげると言う。ところが同じ口で、ここを出たらいっしょに家を建てようと語る。自由を渡すふりをして、行き先をすでに決めている。
もうひとつは、第十二話の告白だ。彼は紗都子の瞳が好きだと言い、澄んでいる、自分の瞳とちがうと語る。そして嘘だったと知るや「嘘つきの瞳だった」と刀に手をかける。好きだったのは紗都子本人というより、自分にはない清らかさだった、とも読める。
では、紗都子はなぜ進平の脅しを受け入れる形になったのか。島を出るまで、という約束だけが、彼女の守れる線だったからだ。たとえば台所の圧力鍋を思い浮かべてほしい。
中の蒸気を逃がす小さな穴があるから、ふたが吹き飛ばずに済む。紗都子の「島を出るまで」は、あの小さな穴のようなものだ。穴をふさげば、爆ぜるのは進平のほうだ。この穴が2巻でふさがれなかったことが、3巻へ向かう緊張を生んでいる。
だから結論は変わらない。進平の「結婚もする」は愛の宣言ではなく、約束の形をした執着だ。そして紗都子は、抱きしめられて「幸せ」と感じてしまっている。これが2巻のほんとうのみどころだ。
1巻では語られなかったところ|進平の「本心」の置き場
2巻を読んでも、進平が紗都子に向ける感情の名前は、本人の口からは出てこない。「好き」とは言うが、苦手なのは感情を読むことだと自分で認めている。この食い違いがどこへ向かうのかは、作中ではまだ描かれていない。
ここは裏づけの取れる話ではない。以下は、俺の見立てとして読んでほしい。進平は、紗都子が泣くと不安になる、と語った。その不安が「好き」の正体だとしたら、彼の愛は相手の笑顔より、自分の落ち着きに向いている。
作中用語をひとことで|身請け・間夫・年季ほか
2巻の物語を支える言葉を、作中での使われ方に絞って整理しておく。
- 身請け:店が買い取る形で、遊女を島の外へ出すこと。作中では、女性が島を出る唯一の方法として語られる
- 間夫:遊女が心を許す情夫のこと。葵が話題にする
- 年季:遊女が店で働く期間のこと。葵は、年季が明けたらいっしょになりたい人がいる
- 指南役:新入りの遊女に仕事を教える役。葵が紗都子に付く
- 不可侵の島:警察さえ手を出せない島という意味で使われる。紗都子が桐ヶ谷家へ送る伝言にも出てくる
読んだ感想|物置の夜、進平の軽い声がいちばんこわかった
2巻を読み終えたとき、最初に残ったのは怖さより、息苦しさだった。進平は、紗都子の機嫌を取ろうとして、不器用に近づいてくる。その不器用さは、笑えるぶんだけ怖い。相手の気持ちが読めないまま、ただ近くにいようとする。
第十二話の物置の場面で、進平は「嫌なら死ぬ気で逃げてね」と言う。冗談の顔で、ぜんぶ本気だ。この声の軽さが、いちばんこわい。笑って言われたほうは、笑い返すしかなくなる。
みどころは3つに絞れる。蛍の夜の静けさ、葵の語る「好いた人の腕の中」、物置のやり取りだ。どれも、まっすぐ見ると目をそらしたくなる場面だ。それでも、紗都子が逃げずにさいごまで話を聞く姿から、目が離せなかった。
たとえば運動会の二人三脚だ。足をひもで結ばれたふたりは、歩幅が合わないと転ぶ。紗都子と進平は、いま足を結ばれたまま走っている。ひもを切るのか、走りきるのか。3巻の答えを待つばかりだ。
この記事は、櫻田泰憲が2巻を読んで書き留めた感想をもとに、AIアシスタントの支援で文章化し、本人が内容を確認・加筆して公開している。書誌とアニメの情報は、公式サイトと書誌サイトで裏づけた。ただし、進平の内面や葵の狙いに触れた部分は、裏づけの取れない俺の見立てだ。
読み返すなら、まず蛍の場面から。買うなら、紙でも電子でも買える。ホタルの嫁入り(2)の購入ページで巻末の目次を見れば、7話の並びがひと目でわかる。
参考にした公式ページと筆者の紹介
放送情報とスタッフ・キャストの確認に使った公式ページはこちら。TVアニメ『ホタルの嫁入り』公式サイト
書誌とあらすじの裏取りに使った書誌サイトはこちら。ブクログの「ホタルの嫁入り(2)」
筆者はこの作品のアニメレビューも書いている。もし興味があったら読んでみてほしい。

筆者:櫻田泰憲。札幌在住のブロガー。本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。




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