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「お隣の天使様3巻、2人の関係はどこで変わったの?」「4巻を読む前に3巻のあらすじを整理したい」「アニメから入ったけど、原作の空気を知りたい」——そんな方へ。
3巻は、1〜2巻の「真昼が周をお世話する」構図が、「2人が貸し借りで支え合う」関係に動いた巻だ。ここを読み落とすと、4巻の帰省編の意味も半分しか味わえない。
この記事を書くのは、両片思いラノベを棚に並べ続けて10年、GA文庫を全巻追っている還暦ブロガー・櫻田泰憲だ。3巻を手元に置き、全13話の流れを一度組み直してから書いた。
この記事を読めば、全13話のネタバレあらすじ、「お世話→貸し借り」への分岐点、4巻で起きそうな展開、そして3巻を今買って損しないかが、5分で分かる。
ネタバレ全開で進む。結末を知りたくない方は、ここでそっと本編を開いてほしい。
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お隣の天使様3巻の基本情報(著者・発行日・ISBN)

まず書誌を表で押さえる。数字と日付は、手元の本の奥付で確かめたものだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 3巻 |
| 著者 | 佐伯さん |
| イラスト | はねこと |
| レーベル・発行所 | GA文庫/SBクリエイティブ |
| 発行日 | 2020年9月30日(初版第一刷) |
| ISBN | 978-4-8156-0741-8 |
| 収録 | 本編13話+あとがき。カラーの口絵(登場人物紹介を含む)と、本編のモノクロ挿絵7点 |
| アニメ | 第1期は2023年1月〜3月に放送。第2期は2026年4月3日に放送が始まった(TOKYO MXほか) |
アニメの放送情報やスタッフは、公式サイトでいちばん早く更新される。映像から入った人は、さきにここで現在の状況を確かめておくといい。TVアニメ公式サイト
お隣の天使様3巻の記事で持ち帰れる3つのこと
さきに答えを並べておく。読み終えたあと、あなたの手に残るのは次の三点だ。
- 周と真昼の関係が、いつ「お世話」から「貸し借り」に変わったか(考察の中心)
- 13話ぶんの流れが、5分でつかめるあらすじ
- 4巻を読む前に押さえたい作中用語と、先の展開への予想
お隣の天使様の3巻の感想を探している人も、あらすじだけ知りたい人も、この順で読めば迷わない。
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お隣の天使様3巻のあらすじ全13話(ネタバレあり)

第1話 新学期の始まり
高校二年の始業式の朝、周のもとへ母の志保子から電話が入る。ひとり暮らしの息子を心配する母は、つらくなったら誰かを頼るようにと言い、できれば真昼にと念を押す。周は余計なお世話だと受け流すが、両親にたいせつにされている自覚はある。
登校すると、クラス分けの名簿に樹、去年も同じクラスだった門脇優太、千歳、そして真昼の名前が並んでいた。優太は王子様と呼ばれる人気者で、さっそく周に声をかけてくる。いい人だと分かっていても、周は過去の傷から警戒を解けない。
その日は午前で解散し、帰宅した周はソファで寝落ちして、昔の友人に突き放される夢を見る。飛び起きた夜、真昼に顔色の悪さを見抜かれる。真昼は理由を聞き出さず、髪を触りたいという口実で膝枕を申し出る。
周は断りきれず頭を載せ、一時間ほど眠り込む。目を覚ますと、真昼が寝顔を見守っていた。頼ってほしいと言う彼女に、周は「善処する」と返した。
第2話 王子様との接触
新学期から一週間ほど、周の暮らしは変わらない。学食で樹と昼を食べ、放課後は部活もないので帰る。学校で真昼と話すことはほとんどない。
食堂で千歳と並んで食べる真昼を、周は遠くから見つめる。真昼が自分とは関係のない誰かを選んで幸せになるなら、祝福するべきだ。そう考えながら、自分が幸せにしたい気持ちを飲み込む。
放課後、ゲームセンターで優太と鉢合わせる。優太は陸上部のエースで、この日は部活が休みだった。周がぬいぐるみを狙うと、優太はアームの狙いどころを教えてくれる。手作りの差し入れに異物を混ぜられた苦い経験も、優太は打ち明ける。周は嫉妬が消えて、取ったお菓子を優太に分ける。
帰宅した周は、真昼に白いうさぎのぬいぐるみを渡す。真昼は抱きしめて喜び、もらってばかりだと恥ずかしそうに言う。お返しに周が頼んだのは、卵たっぷりの固めのプリンだった。後日、真昼のプリンを食べた周は「毎日幸せだ」と伝え、真昼は照れて「ばか」とこぼす。
第3話 天使様と望まぬ押し付け
真昼は温厚で、勉強も運動もでき、美しい。だから天使と呼ばれ、よく告白される。放課後、図書室に本を返した帰りに、周は一階の渡り廊下で男子生徒が真昼に交際を迫るシーンに出くわす。真昼は丁寧に断るが、男子生徒は食い下がり、真昼の手をつかんでしまう。
周は手を出さず、ただじっと視線を向ける。それだけで男子生徒は顔色を変えて走り去った。周が立ち聞きを謝ると、真昼は、乱暴につかまれて少し痛かったと正直に話す。
帰宅後、真昼は周の隣に座って、助かったと礼を言う。呼び出しはしょっちゅうあり、無視せず誠実に断っているのだという。周は、好意を理由に乱暴に触れるのは別の話だと伝える。
真昼は「ちょっと嫌だったので」と言って周の手を取る。周が真昼の頭に手を伸ばして撫でると、真昼は気持ちよさそうに目を細めた。
第4話 天使様の決意

昼休み、優太が財布を手に、周と樹のところへ来る。以前の愚痴を聞いたことで互いに親しみがわき、周の警戒はすこしずつ緩んでいた。優太は、藤宮と友達になっても得はないが、仲良くしたいから声をかけていると笑う。樹は優太を犬にたとえ、ゴールデンレトリバーのようだと言う。
その夜、夕食の席で真昼が微妙に不機嫌になる。周が心当たりを探ると、真昼は、学校で周が優太たちと楽しそうに話していたのが面白くなかったのだと打ち明ける。周の生活を乱さないために、自分は学校で距離を置いているのに、と。
周は、学校で真昼と話せばまわりが騒ぐと説明する。真昼は、自分だけのけ者にされるのは嫌で、許されるなら他のみんなと同じように接したいと寂しそうに言う。周は断れず、なるようになれと頷いた。学校生活がすこしずつ騒がしくなる予感が、周の胸に残る。
第5話 天使様の接触と周囲の反応
翌日から真昼は、控えめに周へ話しかけるようになる。挨拶や勉強の話だけで、友人の友人という距離だ。周は参考書を開いて過ごすが、男子たちの怨嗟の視線が背中に刺さる。
男子から「天使様のどこが好きなんだ」と問われ、周は「天使様には惚れていない」と答える。嘘ではない。周が好きなのは、外ではよそ行きの顔をかぶった真昼ではなく、自分の前で見せる素の真昼だった。
続けて男子たちが容姿の下世話な話を始め、周は参考書で聞こえないふりをする。その夕方、周の家に来た真昼は、不満をにじませていた。話は聞こえていたのだという。周が同じ場にいたことを謝ると、真昼は、ああいう話には慣れていると返す。
ただ、周が自分に魅力を感じていないのではと、クッションに顔を埋めて尋ねる。周は、魅力がないという目は節穴ではない、一番近くにいる俺が保証すると答えた。真昼の耳が赤くなる。
第6話 天使様と調理実習
調理実習は、自由に班を組める。千歳は樹を引き入れ、周と真昼も加わって四人班になった。男子の嫉妬は千歳が軽くいなす。献立は三色そぼろ丼、春雨サラダ、味噌汁、杏仁豆腐に決まる。
当日、料理が苦手な周は、真昼の指導を受けながら卵とそぼろを炒める。包丁の手つきを心配した真昼が、監視役として横に付いた。千歳が「お二人さんさあ……新こ」とからかいかけ、周と真昼は照れて目をそらす。
料理がそろい、杏仁豆腐を取りに行く途中で事件が起きた。汁物の鍋を運んでいた女子と、おおげさに後ずさった男子がぶつかる。周は反射的に真昼を引き寄せ、熱いスープから遠ざけた。
幸いけが人はなかったが、周は男子を、火や刃物のある場所でふざけるなと厳しく叱る。真昼に無断で触れたことを周が謝ると、真昼は助かったと答えた。そのあと優太の撮った記念写真には、天使の笑顔の真昼と周が並んで写る。
第7話 天使様の提案
四月の下旬、ゴールデンウィークが近づく。去年と違い、今年は真昼がいる。千歳のお料理教室で毒味役をする日と、樹や優太とカラオケに行く日のほかは、予定がほとんど空いていた。
そこへ真昼が、スマホケースにしまってあった折り畳みのカードを取り出す。周がバレンタイン前後に真昼へ渡した「何でもいう事を聞く券」だ。真昼はこれを使い、周の一日をもらうと宣言する。行き先は決めていないと言い、決める役を周に預ける。
周は少し迷い、猫カフェに行きたいと打ち明ける。動物が好きだがマンションでは飼えず、男ひとりで入るのは恥ずかしくて、今まで行けなかった。
真昼は笑わずに受け止め、猫カフェ、昼食、買い物、ゲームセンターと予定を組む。上機嫌でクッションを抱く真昼を見て、周は掠れた声で「そうだな」と返し、心臓が強く鳴るのを感じた。
第8話 天使様の料理教室といたずら

連休の初日、千歳が「まひるんによるお料理教室」を宣言して周の家へ押しかけてくる。会場が周の家になったのは、真昼の部屋に周が入るのを周自身が渋ったからだ。周は毒味役としてソファに座り、バレンタインの前科がある千歳の料理を不安に思いながら、キッチンのふたりを見守る。
待つうちに周は眠くなり、目を閉じる。気づくと、甘い花のような香りの中に顔をうずめていた。正午を過ぎており、隣に座る真昼にもたれかかって寝ていたのだ。真昼は、周が寝ぼけて甘えていたと受け止めていた。千歳は、いつの間に名前で呼び合う仲になったのかと、にやにやする。
千歳はこの日、本気で作ったらしく、キッシュと海老のビスクが並ぶ。食後、千歳が帰ると、真昼が突然謝る。周が眠っている間に、頬をつついて髪をなでていたのだという。
周はあきれつつ、悪戯でなければ文句は言えないと返した。真昼は周を犬やうさぎにたとえ、最後に「狼です」と言う。群れの仲間をたいせつにするからだ、と。
第9話 天使様とお出かけ
お出かけの日、真昼は髪を編み込んでお団子にまとめ、ランタン袖のシフォンブラウスで現れる。周が似合うと伝えると、真昼は、浮かれていると思ったでしょうと恥ずかしそうに言い、笑うなら笑ってくださいと添える。手首には、周が贈ったブレスレットが光っていた。
猫カフェでは、シャム猫のシルクが真昼に興味を示し、アメリカンショートヘアのカカオが周の膝に乗ってくる。真昼は猫の絵のラテアートに見とれ、口元に白いひげをつけて飲む。周はそれを一枚だけ写真に残した。
買い物の途中、周が一人で待っていると、ふたり組の女性に声をかけられる。そこへ真昼が天使様の顔で現れ、周の腕を取って女性たちを退ける。ゲームセンターでは、真昼が初めてのクレーンゲームに挑み、周の助言でシルクに似たぬいぐるみを取り、周に差し出す。
そこへ私服の優太が通りかかった。普段と違う髪型と服の周に、優太ははじめ気づかず、やがて目を丸くする。周は事情を話し、優太は口外しないと約束した。
第10話 事情聴取
お出かけから二日後、周はカラオケの個室で樹と優太に迎えられる。ふたりの聞きたいことは、真昼とのことだった。周は、隣に住んでいること、真昼の手料理を食べていることを順に明かす。樹は通い妻かとからかうが、周は一人暮らしで食費を折半し、ふたり分を作る方が都合がいいだけだと言い張る。
優太に「結局、藤宮は椎名さんが好きなのか」と問われ、周はメロンソーダを吹き出しそうになる。周は苦々しく「好きじゃ悪いのか」と認める。
樹と優太は、もっと押せば陥落すると背中を押すが、周は背中を蹴りたくなる。真昼の信頼は、異性への好意というより、すべてを知る相手への信頼に近いのではと、周は自己評価の低さをのぞかせた。
カラオケのあと、周は樹と優太に髪を整えられ、服選びにも付き合わされる。翌日、周の家にいる真昼が、スマホを見て何かを隠す。問い詰めると、志保子から周の昔の写真が送られていたと分かる。
周は、スマホを奪うのは紳士的でないと考え、ソファに膝をついて真昼を追い詰める。逃げ場を失った真昼が暴れて、ふたりでソファに倒れ込み、顔が近づく。周は思わず真昼の頬をつまんでしまった。
第11話 あなた以外に
連休の終わり、テレビの母の日特集をきっかけに、真昼が周に尋ねる。実家に何か贈るのか、なぜ実家を出たのか、と。周は、友達だと思い込んでいた相手と距離を取りたかったからだと打ち明ける。
周は両親や祖父母に愛され、素直で明るい子どもだった。ところが中学の半ば、新しく仲良くなった連中が、周の家の金目当てだったと後から知る。陰で「金蔓」と呼ばれていたのだ。周は人を疑うようになり、避けて避けて、地元を離れた。
話を聞いた真昼は、周の頬に手を添え、周が支えてくれたように自分も支えたいと言う。甘やかしますよ、いくらでも、と。周は思い切って真昼を引き寄せ、抱きしめる。真昼もそれを受け止め、こんどは私の番だと促す。
数十分後、周が離れると、真昼は、借りはきちんと返すタイプなのですと笑う。台所へ向かう真昼の背に、周は思わず手を伸ばして、後ろから抱きしめた。前にしてもらったことを返しているだけだと、周は言う。
第12話 両親の心配と過ぎ去る痛み

連休の最終日、周は母に電話をかける。真昼に昔の写真を送ったことへの抗議だ。志保子は悪びれず、可愛い息子の写真を可愛い娘に送って何が悪いのかと笑う。周が止めようとしても、志保子は楽しそうなままだった。
志保子は、夏には帰省してねと言い、真昼を夏に招待するつもりだと伝える。周は去年の夏は帰らなかった。今は真昼と一緒なら帰ってもいいと思い始めている。母が身長を抜かれた日の写真まで持ち出すので、周は叫んで電話を切り、帰省した時にアルバムを処分すると宣言する。
通話の途中から、真昼が居間の入り口で聞き耳を立てていた。アルバムの破棄と聞くと、「もったいない」と怒り出す。見たいだけだったと、真昼は白状する。
周は、昨日の出来事を思い返し、自分のために本気で怒ってくれる人がいる幸せを真昼に伝える。真昼は当たり前だと小さな声で返し、周の撫でる手に目を閉じた。
第13話 休み明けの波乱の予感
連休が明け、周は、ほぼ毎日真昼と過ごせた日々をかみしめる。同時に、受け入れてもらえているからこそ、告白して断られたら立ち直れないという怖さも抱える。ならば磨ける部分は磨こうと決め、陸上部のエースの優太にトレーニングを教わることにする。樹は笑って周の背中を叩く。
教室に入ると、周は騒がしい空気に気づく。真昼が男性とショッピングモールを歩いていた、という噂が広まっていたのだ。登校してきた真昼に、クラスの女子が、写っていた男性は誰なのかと尋ねる。周は胃のあたりがざわつく。
真昼は一瞬だけ周を見てから、「はい、歩いていましたね」とすなおに認める。付き合っているのかと聞かれると、お付き合いはしていないと答える。
デートかという問いには、定義を考えればデートになりますと言ったあと、自分の胸に手を当てて続けた。「私にとって……彼は一番大切な人ですよ」。その言葉の爆弾が、教室を揺らし、周の心臓を強く揺さぶる。本編はここで終わる。
お隣の天使様3巻の主要登場人物6人をひと目で整理

3巻で動きの大きい六人を表にした。名前は本の表記どおりに書いている。
| 人物 | 立場 | 3巻でしたこと |
|---|---|---|
| 藤宮周 | 高校二年。ひとり暮らし | 真昼の膝枕を受け入れ、過去を打ち明け、教室の最後に真昼から大切な人だと公言される |
| 椎名真昼 | 周の隣室に住む「天使様」 | 膝枕、頭なで、ナンパ除けの演技と、周への距離を一気に縮める |
| 赤澤樹 | 周の友人。千歳の恋人 | 周の恋を見守り、カラオケで周を問いただす |
| 白河千歳 | 樹の恋人。いたずら好き | 真昼とお料理教室を開き、周の席でいっしょに昼を食べると宣言する |
| 門脇優太 | 王子様と呼ばれる陸上部のエース | 周と友人になり、ゲームセンターで周の素顔を知る |
| 志保子 | 周の母 | 周の昔の写真を真昼に送り、夏の帰省に真昼を招く |
あとがきで作者が宣言した「小悪魔まひるんジョブチェンジ」

この巻に、書きおろしの短編は入っていない。巻末にあるのはあとがきと著者紹介だ。
あとがきで佐伯さんは、3巻を「小悪魔まひるんジョブチェンジの巻」と呼んでいる。押さないとどうにもならないと分かった真昼が、ガンガン押す。周は振り回されながらも、負けていない。
つぎの巻では周がもっと積極的に頑張る、と作者は宣言する。本編を読み終えたあとで読むと、13話の最後の爆弾に「やっぱり」とうなずける。
はねこと先生のイラストにも、著者は「可愛すぎて困る」と本音をもらしている。照れた真昼が可愛いという一節は、読者の気持ちそのままだ。
著者紹介では、佐伯さんが両片思いを主食とする作家だと名乗り、はねこと先生は北海道在住で、表紙に「天使の羽」を遊び心で入れたと明かしている。表紙の真昼の背をもういちど見ると、ほんの少しだけ得をした気分になる。巻末まで読んだ人だけが拾える楽しみだ。
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お隣の天使様3巻の考察|「お世話」が「貸し借り」に変わる瞬間

第11話の抱擁が「お世話→貸し借り」の分岐点になった理由
答えをさきに書く。周と真昼の関係が「お世話」から「貸し借り」に変わった瞬間は、第11話の抱擁だ。1巻、2巻で真昼は、周に食事を作り、部屋を整える側だった。周は与えられる側で、駄目人間にされていく。3巻の前半は、その向きがひっくり返りはじめる巻になっている。
根拠は二つある。一つめは、真昼自身の言葉だ。第11話で真昼は「借りはしっかり返すタイプ」と言う。そして「こんどは私の番です。甘えてください」と促す。世話を焼く人が、世話を焼かれる側へ回りたいと、はっきり口に出したシーンだ。
二つめは、周の返し方だ。周は抱き返されて、数十分、真昼に身を預けたあと、台所へ向かう真昼の背に手を伸ばし、後ろから包む。理由は「前にしてもらったことを返しているだけ」。真昼がさきにくれたものを、周が同じ形で返す。借りたものを返す、という動きが、行動の形で見えるのはここだけだ。
この流れは、前半の伏線を拾うと分かりやすい。第1話の膝枕で、真昼は周に「頼ってくださいね。あなたが私にそうしたように」と言う。ここで真昼は、すでに周から何かを受け取っていると宣言している。
第3話では、周が視線だけで男子生徒を退け、そのあと真昼の頭を撫でた。第6話では、周がスープから真昼を引き寄せる。周が真昼を守るシーンが、第11話の前に二度も積まれているのだ。
◆暮らしの例え
第3話で周が男子を退けたのは、雪かきを手伝ってもらった隣の家へ、翌朝こっそりうちの前も雪をどけておく、あの動きに近い。声に出して礼を言うよりさきに、手で返す。
真昼が周の頬をつついたり、膝枕をしたりするのも、同じ「手で返す」の仲間だ。お返しの形が、言葉から手へ移っているだけで、順番にはなんの不思議もない。
もう一つ見逃せないのが、真昼の「天使様」の扱いだ。第5話で周は、天使様を外行きの戦装束と見ている。第9話のナンパ除けで、真昼はその装束を周のために着る。
普段は嫌がっているよそ行きの顔を、周を守る道具に変えるわけだ。よそ行きの服を、大事な人のために着直す。ここにも貸し借りの向きの変化が出ている。
第13話の公言が、ここに乗る。真昼が教室で打ち明けるのは、周に対する最大の「返済」だ。周が過去を打ち明け、甘えを見せたことで、真昼の側も「隠さない」という借りを返した、と俺は見る。だからあの一言は、告白ではなく、貸し借りの精算として読むと筋が通る。
周のほうにも宿題が出ている。第11話で周は、自分がずるいと認める。真昼は「周くんがずるいのはいつもの事です」と受け流し、さらに「私のずるさに気付かないうちは、まだまだ」と笑う。
ずるさの量では、真昼がいくらか上だ。周が追いつくには、受け取るだけでなく、自分から差し出す側に立つ必要がある。13話で周が体を鍛えると決めたのは、そのはじめの一歩だ。
3巻で答えが出ていない3つの謎
答えが出ていない点は三つある。
- 周が中学時代に陰口を聞いてしまった、その具体的な中身。周はあらましだけを語る。
- 真昼が泳げないらしい、という第9話のにおわせ。プールのシーンが来るのか。
- 公言のあと、教室の空気がどう動くのか。3巻はそこで終わる。
この三点には、公式の補足も、この巻の中の答えも見つけられなかった。以下は俺の見立てで、裏付けは取れていない。周の過去は、夏の帰省で両親の口からすこしずつ語られる展開が似合う。真昼のプールは、笑える形で回収されてほしい。公言の余波は、周のトレーニングと同じで、時間をかけて効いてくる。
お隣の天使様3巻を楽しむ作中用語5つ

3巻でよく出る言葉を、本の使い方どおりに整理した。
- 天使様:学校での真昼の呼び名。周は、外行きの戦装束のようなものだと見ている。
- 王子様:門脇優太のあだ名。人気者だが、手作りの差し入れに苦い経験もある。
- 何でもいう事を聞く券:周がバレンタイン前後に真昼へ渡したカード。真昼が連休前に使い、周の一日をもらう。
- まひるん:千歳が真昼を呼ぶあだ名。お料理教室の名にもなった。
- 毒味役:千歳が周に付けた役。バレンタインの前科が、この呼び名の由来だ。
お隣の天使様4巻で起きそうな3つのこと(帰省・プール・トレーニング)

ここから先は予想だ。先の巻の中身は踏まえていない。
第一に、夏の帰省が大きな山場になる。第12話で志保子は、真昼を夏に招く気でいる。周の過去と両親の関係が、帰省で動く。第二に、真昼のプールだ。泳げない様子が第9話でにおわされた。夏の舞台と合わせて、笑える形で触れられる。第三に、周のトレーニングだ。優太に教わると決めたので、周はすこしずつ変わる。
三つとも、3巻の中に種がまいてある。種のまき方を見る限り、4巻は周が「差し出す側」に立つ巻になる、と俺は読む。
お隣の天使様3巻を読んだ感想|甘えると決めた周の背中が一番よかった

読んでいちばん胸に残ったのは、第11話で周が真昼を後ろから抱きしめるシーンだ。理屈では周は受け取るだけでいい。それでも彼は、返そうと手を伸ばした。借りっぱなしを嫌う、あの不器用な律儀さが、周という人物のいちばんいいところだ。
うちには母と妹がいて、姪たちが交代で顔を出してくれる。助けてもらう側に回ってはじめて分かることがある。ありがとうの一言では足りず、何かを返したくなる、あの落ち着かなさだ。周の抱きしめ方には、その落ち着かなさがぜんぶ入っていた。
こたつに入ると、出る気がなくなる。真昼の膝枕も同じで、はじめの一回で周は抜け出せなくなった。しかしこたつと違うのは、このふたりが、入ったまま互いにあたためあう点だ。一方だけがぬくもる関係は長続きしない。3巻はそこを、きちんと書いていた。
札幌は、連休のころにようやく桜が咲く。冬が長いぶん、春は一気に来る。周と真昼の距離が縮まる速度も、あの桜と同じで、気づいたときには満開だった。13話の最後で、真昼が「一番大切な人」と言うシーンを読んだとき、俺はページの手前でいちど、息を止めた。
この記事は、櫻田泰憲が3巻を読んで書き留めた感想とメモをもとに、AIアシスタントの支援で文章化し、本人が読み直して加筆したものだ。書誌や放送情報は、奥付と公式ページで確かめている。
手元に置いて、あなたも口絵と挿絵を見返してほしい。
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参考にした公式ページと筆者(櫻田泰憲)について
アニメ化の最新状況は、公式サイトでいつでも確かめられる。TVアニメ公式サイト
筆者の紹介と他の記事は、プロフィールのページにまとめてある。筆者:櫻田泰憲
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この作品はアニメレビューも書いています。良かったらそちらも読んでくれると嬉しい。

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